病原体と生体防御のしくみ

本文の目次

  1. 細胞を利用して増えるウイルス
  2. 細胞膜と細胞壁
  3. 初期の反応と橋渡し
  4. 細胞どうしの連絡
  5. 抗体を産生する経路
  6. 感染細胞へ作用する経路
  7. 同じ抗原への追加曝露
  8. 経路の一部と全体
  9. 原因物質とIgE抗体
  10. 放出と受容体への作用
  11. 血管の容積と透過性

1. 細胞を利用して増えるウイルス

ウイルスは宿主の細胞に入り、その働きを利用して増える。細胞を利用するという増殖の条件と、細胞の外でどれほど長く残るかは別の問いである。

2. 細胞膜と細胞壁

ヒトの細胞は細胞膜で覆われる。細胞壁をもつ細菌では、膜の外側に形を保つ補強構造がある。膜と壁を同じ構造としてまとめず、どちらを見ているかを区別する。

3. 初期の反応と橋渡し

自然免疫には病原体へ速やかに反応する働きがある。樹状細胞はリンパ組織へ向かい、獲得免疫への橋渡しに関わる。病原体を認識する過程と、その後の移動や提示を、つながる別の過程として捉える。

4. 細胞どうしの連絡

免疫細胞の反応には、サイトカインによる細胞間のシグナル伝達が関わる。抗原を提示することと、細胞どうしが働きかけることは関連しているが、同じ一つの働きではない。

5. 抗体を産生する経路

B細胞から分化した形質細胞は抗体を産生する。B細胞からはメモリーB細胞への分化もあり、現在の抗体産生と後の免疫記憶を同じ細胞名にまとめない。

6. 感染細胞へ作用する経路

獲得免疫の細胞性免疫では、CD8陽性Tc細胞が感染細胞への作用に関わる。自然免疫のNK細胞も感染細胞などへの作用に関わる。同じ作用対象が現れることだけで、二つの細胞を同じ経路へまとめない。

7. 同じ抗原への追加曝露

その抗原への免疫記憶がある場合、同じ抗原への追加曝露で、初回より速く高い抗体反応が得られる。以前に反応した対象と、今回の対象を結びつけて考える。

8. 経路の一部と全体

免疫には細胞の認識、移動、提示、分化、下流の作用など、つながる複数の過程がある。一つの区間を変えた模型では、その区間と直接つながる下流をたどり、保たれた別経路も区別する。抗原提示の再開だけを全ての免疫応答の完了と同じにしない。

9. 原因物質とIgE抗体

即時型アレルギー反応では、原因物質に対するIgE抗体が関わる。原因物質の認識と、その後に働く媒介物質を同じ分子名へまとめず、反応の段階を分けて捉える。

10. 放出と受容体への作用

肥満細胞はヒスタミンを細胞内に蓄える。放出されたヒスタミンは、周囲の組織表面にある受容体と反応して作用する。物質の放出と、組織側で受け取る段階は、つながる別の働きである。

11. 血管の容積と透過性

ヒスタミンの血管への作用には、容積が拡がる血管拡張と、血漿タンパク質が組織中へ漏れる血管透過性の亢進がある。容積の変化と、血管を越える移動を分けて見る。二つを別の性質として見分ける。

用語を確かめる

宿主細胞
ウイルスが入り込み、その働きを利用して増える相手の細胞。
細胞膜
ヒト細胞や細菌の細胞を覆う膜。細胞壁とは別の構造。
細胞壁
細胞壁をもつ細菌で、膜の外側にある形の補強に関わる構造。
自然免疫
病原体への初期の速やかな反応に関わる免疫。
樹状細胞
リンパ組織へ向かい、獲得免疫への橋渡しに関わる細胞。
抗原提示
抗原の情報をT細胞へ提示する働き。
形質細胞
B細胞から分化し、抗体を産生する細胞。
メモリーB細胞
B細胞から分化し、その後の免疫記憶に関わる細胞。
Tc細胞
細胞傷害性T細胞。細胞性免疫で感染細胞への作用に関わる。
二次免疫応答
その抗原への免疫記憶をもとに、同じ抗原への追加曝露で生じる応答。
IgE
即時型アレルギー反応で原因物質に対してつくられる抗体として関わる免疫グロブリン。
肥満細胞
ヒスタミンを細胞内に蓄え、免疫機構に関わる細胞。マスト細胞ともいう。
ヒスタミンの受容体
放出されたヒスタミンと反応する、作用先の器官や組織表面にある特定のタンパク質。
血管拡張
血管の容積が拡がる変化。
血管透過性の亢進
血漿タンパク質が組織中へ漏れる作用として捉える、血管を越える移動の増加。