消化・栄養・代謝のしくみ

本文の目次

  1. 食物を送る準備
  2. 分解と取り込みを分ける
  3. 胃の消化と表面の保護
  4. 十二指腸へ入る二つの経路
  5. 脂質は形を変えて運ばれる
  6. 腸の構造と吸収の役割
  7. 胆汁の色素
  8. 材料が共通でも産物は別
  9. 脂質の役割と構造
  10. ブドウ糖を供給する二つの過程
  11. 窒素出納は全経路の測定が要る
  12. 銅の形と取り込みの方向
  13. 糞便中の亜鉛の由来
  14. マグネシウムを保つ二つの働き
  15. 消化酵素と発酵を分ける

1. 食物を送る準備

口の中では、唾液が食物を湿らせ、滑らかにする。食道は運動で食物を胃へ送り、上下端の括約筋は胃からの逆流を防ぐ働きに関わる。

2. 分解と取り込みを分ける

食物を砕いて消化液と混ぜる機械的消化は、酵素による化学的消化を助ける。分解された物質がまだ腸管内にあれば、体内への吸収が終わったとはいえない。

3. 胃の消化と表面の保護

胃では酸と消化酵素が働く一方、粘膜表面を覆う細胞から粘液が分泌される。消化液の働きと、胃自体を保護する働きを分けて考える。

4. 十二指腸へ入る二つの経路

十二指腸には膵管と胆管が開口している。膵液と胆汁は同じ腸管に入るが、起点と通り道が異なる。

5. 脂質は形を変えて運ばれる

トリグリセリドは消化酵素による分解を受ける。吸収された後、小腸上皮細胞で脂質へ再形成され、カイロミクロンに取り込まれる。

6. 腸の構造と吸収の役割

小腸の粘膜には絨毛があり、大腸には絨毛がない。大腸でも水分と電解質が吸収され、内容物は固形の便へ近づく。

7. 胆汁の色素

ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンから生じる。腸管へ排出されると腸内細菌の代謝を受け、便の茶褐色の色素になる。脂質の消化を助ける胆汁酸塩とは役割が異なる。

8. 材料が共通でも産物は別

吸収されたアミノ酸は体たんぱく質の合成に使われるほか、神経伝達物質やビタミンなどの材料にもなる。材料の由来と、合成後の物質の種類を分けて考える。

9. 脂質の役割と構造

脂質は細胞膜の構成成分であり、エネルギー供給にも関わる。コレステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの材料となる。二重結合の個数とシス・トランスの区分は異なる構造の見方である。

10. ブドウ糖を供給する二つの過程

肝臓は貯蔵グリコーゲンを分解してブドウ糖を血液へ放出する。また、乳酸、アミノ酸、グリセロールなどを使う糖新生でもブドウ糖を供給する。同じ終点でも、最初の材料と過程は異なる。

11. 窒素出納は全経路の測定が要る

窒素の摂取と排出の差を求める測定では、食べこぼしを摂取に数えたり、皮膚や汗などを通じる排出を落としたりすると、差が正の側へ偏る。測定の偏りを、そのまま体内に蓄積した量とは扱わない。

12. 銅の形と取り込みの方向

食事由来の銅は、小腸で2価から1価に還元されてから、内腔側のCTR1を介して上皮細胞へ入る。側底膜側のATP7Aは細胞内から血液側へ送り出す過程に関わる。

13. 糞便中の亜鉛の由来

糞便中の亜鉛には、食事の未吸収分だけでなく、上皮細胞の剥離や分泌液などに伴う体内由来の分もある。摂取量から糞便総量を引いた値と、食事から実際に吸収された量を分ける。

14. マグネシウムを保つ二つの働き

通常の調節で血清マグネシウム濃度が低下すると、腎臓での再吸収が促進され、骨からもマグネシウムが遊離して利用される。二つの供給経路を区別し、個人の症状や検査値をここで判断しない。

15. 消化酵素と発酵を分ける

ヒトの消化酵素で分解できない食物繊維でも、腸内細菌の発酵によってエネルギーが生じる場合がある。その有効エネルギーは一定ではない。酵素による分解と、腸内細菌の発酵を同じ過程として扱わない。

用語を確かめる

食道の括約筋
食道の上下端にあり、胃の内容物が食道や咽頭へ逆流することを防ぐ働きに関わる筋。
カイロミクロン
吸収後の脂質を取り込むリポタンパク質の粒子で、乳状脂粒とも呼ばれる。
ビリルビン
ヘモグロビンの分解に由来する胆汁色素。