生体利用率の分子と分母

生体利用率Fは、投与した薬の量のうち、未変化体として全身循環へ到達した量の割合です。Fは「未変化体の全身到達量÷投与量」で表します。同じ量の単位を使うのでFには単位がなく、0から1の割合、または百分率で表せます。静脈の血液へ薬の全量を直接入れる静脈内投与を基準にするとFは1です。経口投与などでは、吸収されない分や全身循環へ達する前の代謝によって、Fが1より小さくなることがあります。Fは、腸管上皮へ入った量だけを投与量で割った値ではありません。

経口の経路と全身への到達割合

上段左は内腔から実上皮を横切る吸収方向と、腸壁の血液から門脈を下り肝臓を経て右の全身循環へ上る連続血管。右上の静脈内投与の薬は、上皮や肝臓を経ず右の全身側血管へ直接入る。実線は物質の移動。肝臓の内側で、親の分子から付加部分のある別分子へ破線の代謝変換が進む。下段のFは未変化体の全身到達量を投与量で割る。
経口薬は消化管の内腔から上皮を越え、腸壁の血液、門脈、肝臓を経て全身循環へ達します。吸収されずに残る分や、腸管壁・肝臓で代謝される分があるため、未変化体の全身到達量は投与量より少なくなることがあります。生体利用率Fの分母は投与量、分子は未変化体の全身到達量です。静脈内投与は静脈の血液へ直接入るため、吸収過程を経ず、全量を直接入れる基準ではFは1です。