呼吸と循環の基本

本文の目次

  1. 空気の出入りとガス交換
  2. 空気の道筋
  3. 呼吸運動を支える筋
  4. 肺胞と血液の間の交換
  5. 酸素を運ぶ血液
  6. 心房と心室
  7. 肺と全身をつなぐ循環
  8. 動脈、毛細血管、静脈
  9. 弁と流れの向き

1. 空気の出入りとガス交換

鼻や口から空気を吸い込み、吐き出す働きを換気という。肺胞と血液の間で酸素と二酸化炭素が移る働きはガス交換である。空気の出入りと、気体が肺胞壁を越えることは、別の過程として分けて考える。

筋・肺の広がり・気流

同じ正面向きの胸郭と肺を上下の静かな吸気/呼気の二場面で示す。上の吸気では外気から開いた気道を下る実線矢印があり、胸郭の内側が左右へ広がり、横隔膜が収縮して下がることを破線の動き矢印で示す。肺の輪郭の内側には複数の小さい肺胞空間を描き、肺そのものを空虚な一個の筋の袋にしない。下の呼気では吸気筋が緩み、肺が前の大きい輪郭から小さい輪郭へ戻る方向を破線矢印で示し、気道の実線矢印は上向きに外へ出る。吸気に肺胞内圧が外気圧より低い、呼気に肺胞内圧が外気圧より高い時期をそれぞれ直接表示する。破線は構造の動き、実線の矢印は空気の向きであり、力や流量を同じ尺度で測定した矢印ではない。胸郭も位置が変わるが、胸壁の固有弾性が常に内向きに働くとは描かない。静かな呼吸の例で、全吸気が横隔膜だけ、全呼気が受動的という一般化やガス交換全体の完了を示さない。
静かな呼吸の模式です。吸気では横隔膜の収縮と胸郭内の容積増加に肺が伴い、肺胞内圧が外気より低い時期に空気が入ります。呼気では吸気筋が緩み、とくに肺の弾性による戻りで肺胞内圧が高い時期に出ます。胸郭の位置変化を、胸壁固有の弾性が常に内向きという意味にしません。強い呼気の筋活動や実寸・量・速度は示しません。

空気と血液は、壁の両側

上に肺胞の空気、下に毛細血管内の血液を置き、その間を三つの別の薄い層に分けた断面模式。上の層はI型肺胞上皮、その下の斜線の層は基底膜など、その下の層は毛細血管内皮。右の破線の酸素矢印は空気側から三層を越えて血液側へ、二酸化炭素の破線矢印は血液側から空気側へ向かう。血液領域の下では太い実線矢印を横向きに置き、血管に沿う血流と壁越え移動を分ける。各層の名称は短い引出線で対応し、一個の細胞膜を三層全体と同一には扱わない。空気側は体液ではなく、血液がそのまま空気側へ流れる矢印もない。ガスの向きは通常の肺の条件で、各ガス自身の分圧差による。壁の各厚さは見やすい拡大で、胸膜二葉の間隙をこの壁の一層に混ぜていない。
肺胞壁の一部を拡大した断面です。空気と血液の間のI型肺胞上皮、基底膜などの薄い境界、毛細血管内皮を分けます。破線矢印は壁を越えるガス、実線矢印は血管内血流です。細胞と壁の厚さ・隙間は読めるように広げ、実寸や量を表しません。胸膜の図とは別の拡大です。

2. 空気の道筋

鼻から吸い込んだ空気は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支を通って肺の奥へ進む。喉頭から左右の肺へ分かれるまでの部分が気管で、肺内で枝分かれする部分が気管支である。その先に肺胞がある。

空気の道と、交換する壁

上から鼻腔または口腔、咽頭、喉頭、気管へ続く空気の通路を描く。気管から左右へ枝が分かれ、一方の代表枝が気管支、細気管支、終末細気管支へ続き、分岐した他の枝は省略する。終末細気管支までを上の伝導部の括弧に含める。その下の呼吸細気管支の壁には小さい肺胞の空間が現れ、肺胞管では壁に複数の肺胞が並ぶ。その先の肺胞嚢には複数の肺胞が開く。呼吸細気管支から下を呼吸部の括弧で示す。一本だけを代表として追うが、途中の分岐と肺胞の側面への開きも描く。矢印は気道内の空気の経路で、胸膜腔や血管へ向かう線ではない。全肺胞が一本道の最後にだけ付くとは描かず、正確な枝数、尺度、量、気道の全分類は示さない。
代表的な枝を追う模式です。終末細気管支までが伝導部、壁に肺胞が現れる呼吸細気管支から呼吸部です。肺胞は肺胞管の壁にも開き、一本の管の末端だけに集まる形ではありません。矢印は吸気の空気の向きです。全枝・精密位置・実寸や交換量は示しません。

3. 呼吸運動を支える筋

肺への空気の出入りには、肺を取り囲む胸郭の動きが関わる。横隔膜や肋間筋がこの呼吸運動を支える。肺胞でのガス交換と、呼吸運動による空気の出入りは、同じ働きではない。

筋・肺の広がり・気流

同じ正面向きの胸郭と肺を上下の静かな吸気/呼気の二場面で示す。上の吸気では外気から開いた気道を下る実線矢印があり、胸郭の内側が左右へ広がり、横隔膜が収縮して下がることを破線の動き矢印で示す。肺の輪郭の内側には複数の小さい肺胞空間を描き、肺そのものを空虚な一個の筋の袋にしない。下の呼気では吸気筋が緩み、肺が前の大きい輪郭から小さい輪郭へ戻る方向を破線矢印で示し、気道の実線矢印は上向きに外へ出る。吸気に肺胞内圧が外気圧より低い、呼気に肺胞内圧が外気圧より高い時期をそれぞれ直接表示する。破線は構造の動き、実線の矢印は空気の向きであり、力や流量を同じ尺度で測定した矢印ではない。胸郭も位置が変わるが、胸壁の固有弾性が常に内向きに働くとは描かない。静かな呼吸の例で、全吸気が横隔膜だけ、全呼気が受動的という一般化やガス交換全体の完了を示さない。
静かな呼吸の模式です。吸気では横隔膜の収縮と胸郭内の容積増加に肺が伴い、肺胞内圧が外気より低い時期に空気が入ります。呼気では吸気筋が緩み、とくに肺の弾性による戻りで肺胞内圧が高い時期に出ます。胸郭の位置変化を、胸壁固有の弾性が常に内向きという意味にしません。強い呼気の筋活動や実寸・量・速度は示しません。

4. 肺胞と血液の間の交換

肺胞は薄い壁を持つ小さな袋で、その周囲を毛細血管が取り囲む。酸素は肺胞の空気から血液へ取り込まれる。二酸化炭素は血液から肺胞の空気へ移り、呼気に混じって体外へ出る。

空気と血液は、壁の両側

上に肺胞の空気、下に毛細血管内の血液を置き、その間を三つの別の薄い層に分けた断面模式。上の層はI型肺胞上皮、その下の斜線の層は基底膜など、その下の層は毛細血管内皮。右の破線の酸素矢印は空気側から三層を越えて血液側へ、二酸化炭素の破線矢印は血液側から空気側へ向かう。血液領域の下では太い実線矢印を横向きに置き、血管に沿う血流と壁越え移動を分ける。各層の名称は短い引出線で対応し、一個の細胞膜を三層全体と同一には扱わない。空気側は体液ではなく、血液がそのまま空気側へ流れる矢印もない。ガスの向きは通常の肺の条件で、各ガス自身の分圧差による。壁の各厚さは見やすい拡大で、胸膜二葉の間隙をこの壁の一層に混ぜていない。
肺胞壁の一部を拡大した断面です。空気と血液の間のI型肺胞上皮、基底膜などの薄い境界、毛細血管内皮を分けます。破線矢印は壁を越えるガス、実線矢印は血管内血流です。細胞と壁の厚さ・隙間は読めるように広げ、実寸や量を表しません。胸膜の図とは別の拡大です。

5. 酸素を運ぶ血液

赤血球に含まれるヘモグロビンは酸素と結合する。酸素の多い肺胞の毛細血管で酸素と結合し、酸素の少ない末梢組織の毛細血管で酸素を放出する。この性質が、肺で取り込んだ酸素を組織へ供給することに関わる。

Hbによる酸素の結合と放出

上段は肺側で酸素からHbの鉄側へ結合する矢印。中央は血液による組織側への運搬。下段はHbの鉄側から外の酸素へ放出する矢印。構成模式形は共通で、矢印方向が異なる。
肺側の代表的な条件で酸素がHbに結合し、血液で運ばれ、組織側でHbから放出される。鉄を含むヘムをHbの一部として示す模式図で、ヘムの総数、結合部位数、結合率を示さない。結合・放出の矢印と血液による運搬の矢印は別の線幅・矢印形で分けた。可逆的であり、Hbが酸素を作る、または消費する反応ではない。

6. 心房と心室

心臓には左右の心房と左右の心室の四つの空洞がある。心房は血液を集めて心室へ送り、心室は心臓から血液を拍出する。心房と心室は、位置だけでなく、この働きの違いも分けて覚える。

四つの心腔と四つの弁

正面の模式で本人の右を紙面左、本人の左を紙面右へ直接表示する。左側の右心房と右心室、右側の左心房と左心室は、それぞれ上下に置いた二つの腔で、中央に中隔を示す。右心房から右心室への下向き経路には三尖弁、左心房から左心室への経路には僧帽弁を置く。入口の血流矢印は弁を越えて同じ側の心室へ向かう。右心室の出口は肺動脈弁を通り肺動脈へ、左心室の出口は大動脈弁を通り大動脈へ続く。出口の弁の記号へ短い引出線で名前を対応させる。中隔は左右の腔を分ける構造で、血流の矢印ではない。図は四腔と四弁の接続を読むための模式であり、実際の血管の立体的な位置・形・太さや、四弁が同時に開く一時点の心周期を示すものではない。
正面から見た本人の左右です。四腔は中隔で分かれ、入口の三尖弁・僧帽弁と出口の肺動脈弁・大動脈弁が経路に位置します。矢印は血液が通る向きです。接続を見やすく配置した模式で、血管の精密な走行・実寸・全弁が同時に開く状態は示しません。

7. 肺と全身をつなぐ循環

通常の出生後の循環では、全身から戻った血液は右心を経て肺へ送られる。肺でガス交換を終えた血液は左心へ戻り、全身へ送られる。右心が体循環から肺循環へ、左心が肺循環から体循環へ血液を送ることで、二つの循環がつながる。

肺と体をつなぐ一巡

上に肺の毛細血管、中央に紙面左の右心と紙面右の左心、下に体の主な毛細血管を置く。右心から紙面左の肺動脈を上へ進み肺に入り、肺の毛細血管を通った後、紙面右の肺静脈を下へ進んで左心へ戻る。左心から紙面右の大動脈を下へ進み体の毛細血管に入り、体を通った血液は紙面左の大静脈を上へ進んで右心へ戻る。心臓から出る肺動脈・大動脈と、心臓へ戻る肺静脈・大静脈を矢印先端で区別する。左側の肺動脈と大静脈には斜線、右側の肺静脈と大動脈には無地の血液の帯を使い、酸素が相対的に少ない側と多い側の文字を上に置く。模様と酸素の相対量は動脈/静脈の名称の基準ではなく、酸素ゼロや全量比率も表さない。中央の右心と左心の枠はポンプ側のまとまりで、別図の心房/心室や四弁を省略している。血管に沿う太い帯は管内の血液経路で、組織へ全血液が漏れ出る経路ではない。肺と体を介した一巡の接続を追う模式で、精密な実位置、血流量比、瞬間の左右同量や全特殊経路は示さない。
通常の出生後の主経路です。右心から肺を経て左心へ、左心から体を経て右心へ戻ります。線の矢印は管内血液の流れで、壁を越える交換とは別です。斜線と文字は酸素が相対的に少ない側を示し、動静脈の名称は心臓から出るか戻るかで決まります。心臓の中の四弁は別図で示しています。位置・量・全特殊経路は省略した模式です。

8. 動脈、毛細血管、静脈

動脈は心臓から拍出された血液を送り、静脈は心臓へ戻る血液を送る。基本的な血管のつながりでは、動脈と静脈の間に毛細血管がある。組織の毛細血管の薄い壁を通して、酸素や栄養分は血液から組織へ、二酸化炭素や老廃物は組織から血液へ移る。

9. 弁と流れの向き

心室が血液を取り込む側と送り出す側には弁があり、拍動に合わせて開閉する。弁は、血液が一方向に流れるように働く。ポンプとして血液を送り出す働きと、逆向きの流れを防ぐ働きを合わせて考える。

用語を確かめる

換気
空気を吸い込み、吐き出すこと。
ガス交換
肺でのガス交換は、肺胞と血液の間で酸素と二酸化炭素が移ること。
気管
喉頭から左右の肺へ分かれるまでの空気の通り道。
気管支
気管から分かれ、肺内で枝分かれする空気の通り道。
肺胞
気管支の奥にある、薄い壁を持つ小さな袋。周囲の毛細血管との間でガス交換が行われる。
毛細血管
動脈と静脈の間をつなぐ細い血管。組織との物質交換の場になる。
心房
心臓の血液を集め、心室へ送る部屋。
心室
心臓から血液を拍出する部屋。
動脈
心臓から拍出された血液を送る血管。
静脈
心臓へ戻る血液を送る血管。
肺循環
右心から肺を通り、左心へ戻る循環。
体循環
左心から全身の組織を通り、右心へ戻る循環。
ヘモグロビン
赤血球に含まれ、酸素と結合してその運搬に関わるタンパク質。