空気の出入りとガス交換

鼻や口から空気を吸い込み、吐き出す働きを換気という。肺胞と血液の間で酸素と二酸化炭素が移る働きはガス交換である。空気の出入りと、気体が肺胞壁を越えることは、別の過程として分けて考える。

筋・肺の広がり・気流

同じ正面向きの胸郭と肺を上下の静かな吸気/呼気の二場面で示す。上の吸気では外気から開いた気道を下る実線矢印があり、胸郭の内側が左右へ広がり、横隔膜が収縮して下がることを破線の動き矢印で示す。肺の輪郭の内側には複数の小さい肺胞空間を描き、肺そのものを空虚な一個の筋の袋にしない。下の呼気では吸気筋が緩み、肺が前の大きい輪郭から小さい輪郭へ戻る方向を破線矢印で示し、気道の実線矢印は上向きに外へ出る。吸気に肺胞内圧が外気圧より低い、呼気に肺胞内圧が外気圧より高い時期をそれぞれ直接表示する。破線は構造の動き、実線の矢印は空気の向きであり、力や流量を同じ尺度で測定した矢印ではない。胸郭も位置が変わるが、胸壁の固有弾性が常に内向きに働くとは描かない。静かな呼吸の例で、全吸気が横隔膜だけ、全呼気が受動的という一般化やガス交換全体の完了を示さない。
静かな呼吸の模式です。吸気では横隔膜の収縮と胸郭内の容積増加に肺が伴い、肺胞内圧が外気より低い時期に空気が入ります。呼気では吸気筋が緩み、とくに肺の弾性による戻りで肺胞内圧が高い時期に出ます。胸郭の位置変化を、胸壁固有の弾性が常に内向きという意味にしません。強い呼気の筋活動や実寸・量・速度は示しません。

空気と血液は、壁の両側

上に肺胞の空気、下に毛細血管内の血液を置き、その間を三つの別の薄い層に分けた断面模式。上の層はI型肺胞上皮、その下の斜線の層は基底膜など、その下の層は毛細血管内皮。右の破線の酸素矢印は空気側から三層を越えて血液側へ、二酸化炭素の破線矢印は血液側から空気側へ向かう。血液領域の下では太い実線矢印を横向きに置き、血管に沿う血流と壁越え移動を分ける。各層の名称は短い引出線で対応し、一個の細胞膜を三層全体と同一には扱わない。空気側は体液ではなく、血液がそのまま空気側へ流れる矢印もない。ガスの向きは通常の肺の条件で、各ガス自身の分圧差による。壁の各厚さは見やすい拡大で、胸膜二葉の間隙をこの壁の一層に混ぜていない。
肺胞壁の一部を拡大した断面です。空気と血液の間のI型肺胞上皮、基底膜などの薄い境界、毛細血管内皮を分けます。破線矢印は壁を越えるガス、実線矢印は血管内血流です。細胞と壁の厚さ・隙間は読めるように広げ、実寸や量を表しません。胸膜の図とは別の拡大です。