圧受容器の応答域の移動を読む

本文の目次

  1. 刺激と頻度を対応させる
  2. 応答する圧の範囲が移る
  3. 同じ圧と、圧を変えた比較を分ける
  4. 残った応答と、まだ測っていない範囲

1. 刺激と頻度を対応させる

動脈圧は、動脈の中の血液が血管壁へ及ぼす圧です。圧受容器は壁が引き伸ばされる変化を受け取り、求心性の神経活動へつなぎます。一定時間に活動電位が何回生じるかを発火頻度といいます。正常な応答範囲で他の条件を同じにすると、壁の伸展が増えたときは発火頻度が増える向きです。一回の活動電位の大きさを増やす説明とは分けます。

2. 応答する圧の範囲が移る

圧受容器は、長く続く圧の状態に応じて、応答する圧の範囲が移ることがあります。これをリセッティング、または再設定といいます。例えば、同じ頻度の応答を示す圧が高い側へ移る場合です。急性反射がその時の圧変化に抗することと、長期の圧を元の値へ固定することは別です。範囲が移ったというだけで、刺激を変えても応答できなくなったとは決められません。

3. 同じ圧と、圧を変えた比較を分ける

同じ圧受容器を比べる模型を考えます。圧と発火頻度はそれぞれ共通の模型単位で、脈動など他の条件を同じにします。初めは圧80で頻度10、圧100で20でした。後は圧100で頻度10、圧120で20でした。同じ圧100で比べると頻度は20から10へ変わっています。一方、各記録の中で圧を20増すと、頻度はどちらも10増えています。同じ圧での応答と、刺激の差に対する応答の差は、別々に比べます。

4. 残った応答と、まだ測っていない範囲

この模型では、同じ頻度10と20を示す圧が、後の記録で高い側へ移っています。後も圧100から120への変化に応答しているので、全応答が消えた記録ではありません。ここでの感度は、記録した圧の差に対する頻度の変化として比べています。二点で同じ差があっても、全ての圧で同じ直線になるとはいえません。実際の長期の圧変化の原因や、変化にかかる時間も、この二記録だけでは分かりません。

圧と発火頻度の二記録

上段は初め、下段は後の圧と平均発火頻度を同じ縮尺で示す。初めの点は80と10、100と20。後の点は100と10、120と20。圧100の縦破線が両段で同じ位置にあるが、点の高さは初め20、後10。各段の圧差20に対する頻度差10が等しい。点の間の未測定曲線は描かない。
上と下は同じ縮尺の模型です。初めは圧80で頻度10、圧100で20、後は圧100で頻度10、圧120で20が記録されています。点は記録、破線は読み取りの補助です。圧100に対応する頻度は違いますが、各記録内の圧差20に対する頻度差はともに10です。未測定の範囲の曲線や、実際の長期圧変化の原因・時間は描いていません。

用語を確かめる

動脈圧
動脈内の血液が血管壁へ及ぼす圧。
圧受容器
血管壁の伸展を受け取り、神経の求心情報へつなぐ受容器。
求心性
中枢神経系へ向かう情報の向き。
発火頻度
一定時間に活動電位が生じる回数。単発の活動電位の大きさとは別。
応答域
ここでは、刺激となる圧に対して応答を示す範囲。
応答曲線
刺激の強さと応答の対応を点や線で表したもの。未測定の範囲も同じ形とは限らない。
感度
ここでは、記録した圧の差に対して発火頻度がどれほど変わるか。検査の感度という割合とは別の意味。
リセッティング
持続する状態に応じて圧受容器の応答域が移ること。再設定ともいう。
模型単位
比較のために指定した量の単位。この図の数値は患者の血圧値や実測の基準値ではない。