圧受容器の応答域の移動を読む
本文の目次
1. 刺激と頻度を対応させる
動脈圧は、動脈の中の血液が血管壁へ及ぼす圧です。圧受容器は壁が引き伸ばされる変化を受け取り、求心性の神経活動へつなぎます。一定時間に活動電位が何回生じるかを発火頻度といいます。正常な応答範囲で他の条件を同じにすると、壁の伸展が増えたときは発火頻度が増える向きです。一回の活動電位の大きさを増やす説明とは分けます。
2. 応答する圧の範囲が移る
圧受容器は、長く続く圧の状態に応じて、応答する圧の範囲が移ることがあります。これをリセッティング、または再設定といいます。例えば、同じ頻度の応答を示す圧が高い側へ移る場合です。急性反射がその時の圧変化に抗することと、長期の圧を元の値へ固定することは別です。範囲が移ったというだけで、刺激を変えても応答できなくなったとは決められません。
3. 同じ圧と、圧を変えた比較を分ける
同じ圧受容器を比べる模型を考えます。圧と発火頻度はそれぞれ共通の模型単位で、脈動など他の条件を同じにします。初めは圧80で頻度10、圧100で20でした。後は圧100で頻度10、圧120で20でした。同じ圧100で比べると頻度は20から10へ変わっています。一方、各記録の中で圧を20増すと、頻度はどちらも10増えています。同じ圧での応答と、刺激の差に対する応答の差は、別々に比べます。
4. 残った応答と、まだ測っていない範囲
この模型では、同じ頻度10と20を示す圧が、後の記録で高い側へ移っています。後も圧100から120への変化に応答しているので、全応答が消えた記録ではありません。ここでの感度は、記録した圧の差に対する頻度の変化として比べています。二点で同じ差があっても、全ての圧で同じ直線になるとはいえません。実際の長期の圧変化の原因や、変化にかかる時間も、この二記録だけでは分かりません。
圧と発火頻度の二記録
用語を確かめる
- 動脈圧
- 動脈内の血液が血管壁へ及ぼす圧。
- 圧受容器
- 血管壁の伸展を受け取り、神経の求心情報へつなぐ受容器。
- 求心性
- 中枢神経系へ向かう情報の向き。
- 発火頻度
- 一定時間に活動電位が生じる回数。単発の活動電位の大きさとは別。
- 応答域
- ここでは、刺激となる圧に対して応答を示す範囲。
- 応答曲線
- 刺激の強さと応答の対応を点や線で表したもの。未測定の範囲も同じ形とは限らない。
- 感度
- ここでは、記録した圧の差に対して発火頻度がどれほど変わるか。検査の感度という割合とは別の意味。
- リセッティング
- 持続する状態に応じて圧受容器の応答域が移ること。再設定ともいう。
- 模型単位
- 比較のために指定した量の単位。この図の数値は患者の血圧値や実測の基準値ではない。