正常なカルシウム調節の基盤

本文の目次

  1. 多くを蓄える場所と、働きに使う場所
  2. 細胞の外側と内側を分ける
  3. 血液側のCaは、結び付く相手で分かれる
  4. 濃度を読むときは、量と体積を組にする
  5. 副甲状腺から放出されるPTH
  6. イオン化Caの変化に応じて放出を変える
  7. 感知した変化へ戻る働き
  8. 腎では、管の中と血液側を行き来する
  9. Caを再吸収すると、尿へ失う量が変わる
  10. リン酸はCaと同じ方向に動くとは限らない
  11. 腎はビタミンDの活性化にも関わる
  12. 腎の二つの枝を、作用する場所で分ける
  13. 作用の方向と、実際の記録をつなぐ
  14. 骨をつくる細胞と、骨から取り出す細胞
  15. PTHを受ける細胞から、吸収する細胞へ
  16. 吸収の方向と、期間内の骨量
  17. 材料を変える肝と腎、取り込む腸
  18. 腎の保持と、腸からの供給
  19. 体外との出入りと、体内の場所替え
  20. 同じ期間の収支をそろえる
  21. 骨の収支と全身の収支は、境界が違う
  22. Caが戻ると、分泌への刺激も変わる
  23. 働いた方向と、最後に測る値
  24. 変わった経路から、必要な記録へ

1. 多くを蓄える場所と、働きに使う場所

カルシウムは身体にある無機成分の一つです。無機成分は、骨の材料や体液の調節などを支える成分です。体内のカルシウムの大部分は、骨と歯の硬い基質に含まれています。一方、体液のカルシウムは、筋の収縮や細胞どうしの連絡などに関わります。体液では、電荷を持ったカルシウムイオンであるCa²⁺としての状態を考えます。骨に多く蓄えられている量と、細胞の周囲ですぐに働きに関わる状態を分けると、骨の貯蔵と血中の調節をつなげやすくなります。

2. 細胞の外側と内側を分ける

細胞膜の外側の液が細胞外液、内側の液が細胞内液です。血液の液体部分である血漿と、組織で細胞を取り巻く間質液は、細胞外液の主要な区画です。血漿と間質液の間では物質が移動し、細胞外液のCaは細胞の働きを支えます。細胞内でもCaの変化は信号として使われます。例えば神経の終末へCaが入ると、伝達物質の放出につながります。この局所の細胞内変化は、血液側のCa濃度や、骨に蓄えられた全量とは場所も役割も違います。どこにあるCaを追うかを先に決めます。

3. 血液側のCaは、結び付く相手で分かれる

血漿中のCaには、たんぱく質に結合した分と、ほかの小さな成分と組になった複合体の分があります。複合体とは、複数の成分が結び付いている状態です。たんぱく質やほかの成分と結び付かず、遊離のCa²⁺としてある分がイオン化Caです。これらの分を合わせたものを総Caといいます。総Caが同じでも、結び付き方が違えばイオン化Caの分は違い得ます。総Caの記録と、イオン化Caの記録をそれぞれの分画に対応させて読みます。

4. 濃度を読むときは、量と体積を組にする

濃度は、一体積当たりにどれだけの成分があるかを表す量です。一定のCa量が、一様な液のより大きい体積に広がれば、その一体積当たりの量は小さくなります。量を比較する記録と濃度を比較する記録では、液体積の条件も一緒に確かめます。また、骨から血液側へCaが移ると、その二つの区画の量は変わりますが、その内部移動だけなら身体全体にあるCaの量は変わりません。血液側の濃度、骨の量、全身の量は、同じ変化を同じ数値で表すものではありません。

Caの貯蔵と、細胞の外側・内側

骨と歯の基質、血漿、間質液、細胞膜で囲む細胞内液を分ける。骨と細胞外液のCa移動は体内の場所替えであり、血漿と間質液の移動や細胞内Caの局所信号とは追う場所が異なる。
骨/歯と体液、細胞内を分けます。血漿と間質液は細胞外液の区画で、細胞内の局所Ca信号とは場所・役割が異なります。骨と細胞外液のCa移動は体内の場所替えです。

総Ca・イオン化Caと、液体積

血漿のイオン化Ca、たんぱく質に結合したCa、小さな成分との複合体を分け、総Caはこれらを合わせたものとする。下段はCa量が同じで一様な液の体積だけが異なる比較。総Caの分配と量を体積で割る濃度は別に対応させる。
総Caは、イオン化分・たんぱく質結合分・小さな複合体の分を合わせたものです。総Caが同じでもイオン化分は結合条件に依存します。下段はCa量が同じで一様な液の体積だけが異なる比較です。

5. 副甲状腺から放出されるPTH

副甲状腺は、頸部の甲状腺の近くにある内分泌器官です。甲状腺と副甲状腺は名前が似ていますが、ここでCa調節のホルモンを放出するのは副甲状腺です。そのホルモンが副甲状腺ホルモン、略してPTHです。分泌とは、つくられた物質を放出することです。PTHは血液を通って作用する相手である標的へ届きます。標的の細胞が受容体という信号を受け取るたんぱく質を介して応答すると、Caを保つための働きにつながります。合成、放出、血中の濃度、標的の応答を順に分けて考えます。

6. イオン化Caの変化に応じて放出を変える

副甲状腺の細胞は、自分を取り巻く細胞外液のイオン化Caの変化を感知します。正常な応答範囲でほかの入力条件が保たれていると、イオン化Caが低下したときにはPTH分泌が増す向きに働き、上昇したときには分泌が抑えられる向きに働きます。調節の入口にあるのはCaについての情報であり、骨からCaが移動する過程そのものではありません。分泌が変わった後、そのPTHが届く場所でどの働きが変わるかをたどる必要があります。

7. 感知した変化へ戻る働き

状態の変化に対する応答が、その変化を打ち消す方向へ働く関係を負のフィードバック、負帰還といいます。イオン化Caが低下したときのPTH増加は、腎でCaを保つ働きや、骨・腸を通して細胞外液へCaを供給する働きにつながります。その結果としてイオン化Caが戻れば、副甲状腺がその変化を再び感知してPTHの放出を抑える側へ働きます。出力であるPTHが増えることも、Ca低下に対しては戻す働きの一部です。各臓器の経路を順に読むと、情報の戻りと、Caそのものの移動を分けてたどれます。実際に戻る速さや程度は、それぞれの経路が働く条件にも関わります。

イオン化Caを感知する、PTHの負帰還

イオン化Ca低下を副甲状腺が感知し、PTH放出が増える方向へ。腎の保持と骨・腸から細胞外液への供給は元の低下を戻す側へ働く。戻ったイオン化Caの情報が再び副甲状腺へ入り、放出を抑える。方向と実際に戻る速さ・程度は分ける。
正常な応答範囲で他の入力条件が同じなら、イオン化Ca低下はPTH放出を増す側へ働きます。保持と供給の作用がCaを戻す方向へつながり、戻りが再び分泌を抑える入力になります。放出と血中濃度、作用方向と実際の最終値は分けます。

8. 腎では、管の中と血液側を行き来する

腎では、血液から濾過された液が尿細管の中の空間である管腔へ進みます。濾過は、糸球体の血液側からボウマン嚢の腔へ成分が移る過程です。管腔側の成分が尿細管上皮を越え、間質と周囲の毛細血管を経て血液側へ戻る過程を再吸収といいます。最終的に尿側へ出る量が排泄量です。血液中のCaのうち、遊離のイオン化分や小さな複合体の分は濾過され得ますが、たんぱく質に結合した分はそのまま同じように濾過される分ではありません。血中の総Caと、濾液へ入るCaの量を分けて、腎での移動を追います。

9. Caを再吸収すると、尿へ失う量が変わる

PTHは、正常な代表作用として尿細管でのCa再吸収を増す側へ働きます。同じ期間に濾過されるCa量やほかの出入りをそろえて比べると、管腔から血液側へ戻る量が増えた分、尿へ出るCa量は減る側へ変わります。これが、腎を通してCaを体内に保つ作用です。尿に出たCaの濃度だけを読むと、尿の体積の変化も混ざります。排泄量を比べるときは、同じ期間に出たCa量と尿体積を対応させ、濾過量などの条件も確かめます。

10. リン酸はCaと同じ方向に動くとは限らない

身体のリンは、体液ではリン酸を含む形として扱います。リン酸も骨の無機成分などに関わりますが、腎でのPTHの代表作用はCaと方向が違います。PTHは、尿細管の初めの部分である近位尿細管で、リン酸の再吸収を減らす側へ働きます。同じ期間の濾過量やほかの条件をそろえると、戻るリン酸が減るため、尿へ出るリン酸量は増す側へ変わります。Caは再吸収を増す側、リン酸は減らす側というように、何の成分を追っているかを矢印と組にして読みます。

腎で戻すCaとリン酸、尿への損失

血液側から濾過され得る遊離Ca・小複合体の経路と、尿細管管腔から上皮・間質を経て血液へ戻る再吸収を示す。蛋白結合Caをそのまま同じ濾過経路へ入れない。同期間・同濾過量の代表比較でPTHはCa再吸収を増し、近位尿細管リン酸再吸収を減らす側へ働く。尿排泄量は濃度と尿体積を対応させる。
同期間・同濾過量などの代表比較で、PTHはCa再吸収を増し、近位尿細管のリン酸再吸収を減らす側へ働きます。管腔から上皮・間質を経て血液側へ戻る量と、尿側へ出る量を対応させます。蛋白結合Caと、濾過され得る遊離・小複合体のCaは別です。

11. 腎はビタミンDの活性化にも関わる

ビタミンDの材料は食物から入り、皮膚でもつくられます。その材料が肝での変化を経て、腎で活性型へ至る変化を受けます。活性化とは、働く形へ至る変化のことです。活性型ビタミンDは、腸でCaやリンの吸収を促す働きにつながります。PTHは、腎のこの活性型へ至る変化を促す側にも働きます。材料と腎での経路が保たれる条件で、PTHからの信号が活性型Dの供給を変え、その先の腸の吸収へつながります。腎が材料をすべて一からつくる過程ではなく、材料を変えて他の臓器の働きへつなぐ過程です。

12. 腎の二つの枝を、作用する場所で分ける

PTHの腎への働きには、Caを管腔から血液へ戻す再吸収の枝と、活性型Dを介して腸の吸収へつながる枝があります。前者は腎でCaの移動を変え、尿への損失を減らす側へ働きます。後者は腎で分子の形を変える段階を経て、腸から体内へ入るCaに関わります。PTHが増えたという同じ入口からでも、途中の物質と働く場所は違います。一方の経路が変わった比較では、その先のどの移動が変わるかを、腎で戻す枝と腸から取り込む枝に分けて説明します。

PTHから腎のD活性化、腸の吸収へ

食物・皮膚のD材料、肝での変化、腎で活性型へ至る変化をつなぐ。PTHは腎の活性化を促す作用。活性型Dは腸でCa・リン酸の吸収を促し、成分が腸の中から体内へ移る。腎のCa再吸収とは場所・途中の成分が異なる枝。
材料と肝・腎の経路が保たれる代表条件で、PTHは腎のD活性化を促す側へ働きます。活性型Dは腸のCa・リン吸収を促します。腎でCaを血液へ戻す枝と、腸から体内へ取り込む枝を分けます。

13. 作用の方向と、実際の記録をつなぐ

PTHの分泌、血中PTH濃度、尿へ出たCa量、血液側のイオン化Caは、それぞれ異なる段階の記録です。たとえば同じ濾過量の条件で再吸収が増えれば、尿へのCa損失を減らす方向を説明できます。最終的なイオン化Caには、腸からの吸収、骨との移動、液体積、結合の状態なども関わります。そのため、一つの作用枝の向きだけから最終値まで求めるときには、他の枝と同じ期間の記録も必要です。どの境界をどれだけのCaが通ったかをそろえれば、作用の情報と観測した状態を対応させられます。

14. 骨をつくる細胞と、骨から取り出す細胞

骨の細胞の周囲にある材料を骨基質と呼びます。骨芽細胞は新しい骨基質をつくり、Caとリン酸を含む無機成分がそこに沈着する石灰化に関わります。これが骨形成です。破骨細胞は骨基質を分解して取り除く骨吸収を担い、骨の無機成分からCaが細胞外液へ移ることにつながります。骨細胞は骨基質の中に位置し、受け取った情報を骨の更新の調節につなぎます。形成する側、吸収する側、基質内で情報を受ける側を分けると、骨への情報とCaの移動を追いやすくなります。

15. PTHを受ける細胞から、吸収する細胞へ

PTHが骨で働くときは、骨芽細胞系の細胞や骨細胞がPTHを受容体で受け、その細胞からの連絡が破骨細胞の形成や働きの調節へつながります。骨芽細胞系とは、骨をつくる側の細胞とその系列を指します。別の細胞への連絡を介して効果が現れるのが間接作用です。刺激がある期間続く代表的な条件では、この経路が破骨細胞による骨吸収を促す側へ働き、骨のCaを細胞外液へ移す方向に関わります。PTHの受け手から連絡する細胞へ進む経路と、骨からCaが移る経路は役割が異なります。

16. 吸収の方向と、期間内の骨量

持続刺激は、刺激がある期間続いている条件です。PTHによる骨吸収促進は、この代表条件での作用方向を表します。一方、正味の骨量の変化は、同じ期間の骨形成量と骨吸収量の差で決まります。両方が進んでも形成と吸収が等しければ、更新は続きながら正味量は変わりません。形成が上回れば増え、吸収が上回れば減ります。刺激の時間的な与えられ方や他の調節条件によって両者の働きは変わるため、PTHの一つの作用方向と全条件での正味骨量を同じものとして扱うことはできません。

PTHの骨への間接作用と、Caの移動

PTHを骨芽細胞系・骨細胞が受け、その連絡を介して破骨細胞の形成・働きへつながる。代表的な持続刺激条件では骨吸収を促す側へ働き、骨Caが細胞外液へ移る。情報の連絡とCa物質の移動は別の線。正味骨量は同期間の形成量と吸収量の差を追う。
骨芽細胞系・骨細胞がPTHを受け、連絡を介して破骨細胞の形成や働きへつながります。代表的な持続刺激では骨吸収と骨Caの細胞外移動を促す側へ働きます。正味骨量は同期間の形成と吸収の差を追い、一つの作用方向だけからは決まりません。

17. 材料を変える肝と腎、取り込む腸

ビタミンDの材料は食物から入り、皮膚でも紫外線に関わる反応を経て作られます。その材料は肝での変化を経て、腎で活性型ビタミンDへ至る変化を受けます。材料と各場所の働きが保たれる正常な代表条件では、PTHは腎でこの活性化を促す側へ働きます。活性型ビタミンDは腸でCaやリン酸の吸収を促します。腸管腔は食物が通る腸の内側の空間で、腸での吸収はそこから成分が体内へ入る移動です。活性化する腎と、吸収を行う腸を場所ごとにつなぐことが大切です。

18. 腎の保持と、腸からの供給

PTHが腎のCa再吸収を促す枝では、尿細管の管腔側にあるCaを血液側へ戻し、尿へ失う量を減らす方向へ働きます。PTHが腎のD活性化を促す枝では、活性型Dを介して腸から入るCaを増やす方向へ働きます。前者は体内にあるCaの保持、後者は消化管からの供給へつながる別の過程です。腸から吸収されたCaは細胞外液へ入りますが、そのうち骨へ取り込まれる量は、骨形成や骨吸収などの出入りとあわせて追います。吸収が増えたという情報だけでは、骨に残る量まで決まりません。

19. 体外との出入りと、体内の場所替え

量を追う範囲の内側と外側を分ける線を境界と呼びます。全身のCa量を追うときは、消化管から吸収されて体内へ入るCaと、尿などを通して体外へ失うCaを数えます。消化管の食物が通る空間にあるだけのCaは、まだ体内へ吸収されたCaとは分けます。骨から細胞外液へ移るCaは、全身の境界の内側で場所を変える内部移動です。その移動だけなら骨側のCaは減り、細胞外液側は増えますが、全身のCa量は増えません。PTHはCaそのものを新たに作るのではなく、移動や保持を調節します。

20. 同じ期間の収支をそろえる

入る量と出る量を対応させて、量の増減を追うのが収支です。消化管から体内へ入る量から、体内から消化管へ出る量を差し引いたものを、消化管を通した正味の吸収量とします。同じ期間の全身量の変化は、この正味に入る量から、尿など消化管以外の経路で体外へ失う量を差し引いて追います。骨と細胞外液の間の移動は、この全身収支では新しい入力や損失に加算しません。尿へ出るCa濃度を測るだけでなく、その期間の尿量も対応させると、失ったCa量を追えます。

21. 骨の収支と全身の収支は、境界が違う

骨のCa量に注目すれば、骨へ取り込まれるCaが入力、骨から細胞外液へ出るCaが出力です。全身に注目すれば、この二つはともに体内の移動です。たとえば体外との出入りが釣り合っていても、骨から出る量が骨へ入る量を上回る期間には、全身量が保たれる一方で骨側の量は減り得ます。骨の更新が進むこと、骨に残る量が変わること、全身量が変わることは、追う境界と出入りをそろえて読みます。

22. Caが戻ると、分泌への刺激も変わる

他の入力条件が保たれる正常な応答範囲では、細胞外液のイオン化Caが低下するとPTH分泌が増える方向へ動きます。PTHの腎でのCa保持、骨からの供給、活性型Dを介した腸からの供給が働くと、イオン化Caを戻す方向の効果につながります。戻ったイオン化Caは副甲状腺が受け取る入力にもなり、PTH分泌を抑える方向へ働きます。最初の低下を打ち消す効果と、その効果が再び分泌へ伝わる戻りが、負帰還のつながりです。各過程には時間がかかり、出入りや反応条件も関わるので、作用する方向と戻る速さや程度は分けて追います。

23. 働いた方向と、最後に測る値

腎のCa再吸収が増す方向の作用を知っても、最終的な血液側のイオン化Ca濃度を求めるには、他の経路の出入り、期間、対応する液体積、たんぱく質などへの結合分配が必要です。全身のCa量が同じでも、骨と細胞外液への分配が変わることがあります。細胞外液の量が変わっても、液体積や結合条件が変わればイオン化Ca濃度の変化はそれらの影響を受けます。骨量については、同じ期間の形成と吸収を対応させます。PTHについても、分泌速度と血中濃度は、血液側から取り除かれる過程が関わる別の記録です。

24. 変わった経路から、必要な記録へ

ある期間に濾過されるCa量と他の尿細管の処理が同じなら、腎でCaを戻す量が増えるほど尿への損失は減る側となります。この保持の変化を確かめるには、その期間の尿へのCa排泄量を対応させます。腸から入る経路を追うときは、D材料の供給、腎での活性化、腸からの正味吸収をつなぎます。骨から出る経路を追うときは、PTHを受ける細胞から破骨細胞への連絡と、骨に入る量・出る量を対応させます。一つの経路の変化を、他の経路の変化や最後の濃度と区別するには、経路ごとの量と観測した時点をそろえることが役立ちます。

全身と骨の収支を分ける

全身境界の外側に消化管の中と尿への出口、内側に骨と細胞外液を置く。消化管の吸収と体内から腸への量を差し引き、正味入力から同期間の尿などの損失を差し引く。骨と細胞外液の移動は全身の新入力・損失へ加算しない。骨の収支、液体積と結合分配、イオン化Ca濃度を別に対応させる。
同期間の消化管からの吸収と体内から腸への量を差し引き、正味入力から尿などの体外損失を差し引きます。骨と細胞外液の内部移動を全身の新入力や損失へ加算しません。骨量の収支、液体積と結合分配、イオン化Ca濃度は別に対応させます。

用語を確かめる

カルシウムイオン
電荷を持ったCa²⁺としてのカルシウム。
無機成分
カルシウムやリンなど、骨の材料や体液の調節にも関わる成分。
細胞外液
細胞膜の外側にある液。血漿や間質液が主要な区画。
細胞内液
細胞膜の内側にある液。
血漿
血液の液体部分。
イオン化Ca
たんぱく質やほかの成分と結び付かず、遊離のCa²⁺としてある分。
結合Ca
ここでは、血漿たんぱく質に結び付いているCaの分。
複合体
複数の成分が結び付いている状態。
総Ca
イオン化分、たんぱく質結合分、小さな複合体の分などを合わせたCa。
濃度
一体積当たりにある成分の量。
液体積
量や濃度を追っている液全体の体積。
副甲状腺
頸部の甲状腺の近くにあり、PTHを放出する内分泌器官。
PTH
副甲状腺ホルモンの略称。
受容体
信号を受け取って細胞の応答へつなぐたんぱく質。
分泌
つくられた物質を放出すること。
標的
ホルモンなどが働く相手となる細胞・組織。
負帰還
状態の変化への応答が、その変化を打ち消す方向へ働く関係。負のフィードバック。
管腔
管の内側の空間。
濾過
腎では、糸球体の血液側からボウマン嚢の腔へ成分が移る過程。
再吸収
尿細管の管腔側から、成分が血液側へ戻る過程。
排泄量
同じ期間に尿側へ出る成分の量。
リン酸
体液でリンを含む形の一つ。腎での移動や骨の無機成分に関わる。
近位尿細管
腎の尿細管の初めの部分。
活性化
働く形へ至る変化。
活性型ビタミンD
肝・腎での変化を経て生じ、腸のCaやリン吸収などを促す働く形のビタミンD。
骨基質
骨の細胞の周囲にある材料。Caやリン酸を含む無機成分と、有機成分などからなる。
骨芽細胞
新しい骨基質をつくり、その石灰化に関わる骨形成側の細胞。
破骨細胞
骨基質を分解して取り除く骨吸収を担う細胞。
骨細胞
骨基質内に位置し、情報の感知や骨の更新の調節に関わる細胞。
骨形成
骨芽細胞が新しい骨基質をつくり、その石灰化に関わる過程。
骨吸収
破骨細胞が骨基質を分解して取り除く過程。骨のCaが細胞外液へ移ることにつながる。腸から体内へ入る吸収とは場所と過程が違う。
石灰化
骨基質にCaやリン酸を含む無機成分が沈着すること。
間接作用
別の細胞や物質を介した連絡によって効果が現れること。
持続刺激
刺激がある期間続いている条件。
正味
対応する増加側と減少側を差し引いた結果。骨量では同じ期間の形成量と吸収量を比べる。
腸管腔
食物が通る腸の内側の空間。そこにあるCaと、吸収されて体内へ入ったCaを分ける。
境界
量を追う範囲の内側と外側を分ける線。どの境界かによって入力・出力として数える移動が変わる。
内部移動
指定した境界の内側で、物質が場所を変えること。骨と細胞外液のCa移動は全身境界では内部移動。
収支
同じ期間に入る量と出る量を対応させて、指定した範囲の量の変化を追うこと。
正味吸収量
消化管から体内へ入る量から、体内から消化管へ出る量を差し引いた量。