正常な呼吸・循環の短期調節の基盤

本文の目次

  1. 変化を受け取り、働く場所へ伝える
  2. 心臓自身の拍動と、神経による調節
  3. 呼吸が自動でも、横隔膜へは骨格筋の出力が届く
  4. 脳幹は情報を通し、調節にも関わる
  5. 動脈の壁が引き伸ばされる
  6. 伸展の情報は発火の頻度として伝わる
  7. 動脈からの情報と、心臓への指令は向きが違う
  8. 伸展が増えると、心臓を速くする駆動は弱まる
  9. 細動脈では交感性の収縮が弱まる
  10. 圧が下がったときは、反対向きに支える
  11. 反射の方向と、その後の圧を確かめる
  12. 壁の伸展と、血液の化学的な変化
  13. 酸素分圧と、酸性の程度
  14. 血液側の変化から、換気の駆動へ
  15. 同じ酸素分圧でも、運べる量は違う
  16. 血液のCO₂から、脳側の局所pHへ
  17. 血液のpHと、脳側のpHを比べる
  18. 脳幹の駆動から、呼吸筋の運動へ
  19. 呼吸回数から、肺胞換気へ
  20. 換気を変えた直後のCO₂排出
  21. 新しい定常状態で、出入りが釣り合う
  22. 別の入力と、産生の変化が重なる

1. 変化を受け取り、働く場所へ伝える

身体の調節は、状態の変化を受け取るところから始まります。刺激を受けて神経の入力へつなぐしくみが受容器です。その情報が脳や脊髄からなる中枢神経系へ向かう経路を求心性、中枢から外側へ向かう経路を遠心性といいます。中枢は届いた情報を組み合わせ、必要な出力につなぎます。この処理が統合です。出力を受けて実際に力を出す筋などは効果器です。受容器→求心性経路→中枢での処理→遠心性経路→効果器という順をたどると、変化を知らせる情報と、身体へ働く応答を結び付けられます。求心・遠心の基準は中枢であり、心臓へ近づくかどうかではありません。

2. 心臓自身の拍動と、神経による調節

正常な心臓では、右心房にある洞房結節が代表的な拍動開始の場所です。そこから始まる興奮が心房へ広がり、房室結節を経て心室側へ進みます。身体の状態に合わせて心筋や血管の筋などを調節するのが自律神経系です。心臓への交感神経の代表的な作用は心拍数を増やす向き、副交感神経の作用は減らす向きです。心臓自身が拍動を始める働きに、神経の調節が加わります。一拍ごとに運動神経から開始の合図が来ることを、正常な心臓の必須条件にはしません。交感・副交感という区分は神経の経路に基づき、気持ちが緊張しているか落ち着いているかだけで決まりません。

3. 呼吸が自動でも、横隔膜へは骨格筋の出力が届く

横隔膜は胸と腹の間にある骨格筋で、収縮して胸の広がりを助けます。骨格筋へ届く末梢の運動出力を体性運動出力と呼びます。睡眠中の自動的な呼吸でも、意識して深く呼吸するときでも、横隔膜の骨格筋へ届くこの出力の分類は同じです。自動か意識的かは上流でどのように駆動するかの違いであり、骨格筋への出力を自律神経へ変更する理由にはなりません。心臓への自律出力と、呼吸筋への体性出力を、働く筋と経路を確かめて分けます。

4. 脳幹は情報を通し、調節にも関わる

脳幹は、中脳・橋・延髄が続く脳の部分です。延髄の下方は脊髄へつながります。脳幹には情報を通す経路と、その情報を処理する神経細胞の集まりがあり、延髄は心臓・血管や呼吸の調節に関わります。呼吸のリズムやパターンには、延髄の細胞群と橋などの連絡も関わります。身体から届く求心情報を受け、心臓・血管・呼吸筋への出力につなぐ位置として読むと、単に場所の名を覚えるだけでなく、入力と応答のつながりを追えます。

5. 動脈の壁が引き伸ばされる

動脈の血液が血管壁へ及ぼす圧が動脈圧です。圧の変化は、壁の引き伸ばされ方にも関わります。この引き伸ばされる変化を伸展といいます。頸部の頸動脈にあるふくらんだ部分を頸動脈洞、心臓から出る大動脈が弓状に曲がる部分を大動脈弓と呼びます。これらの壁には、代表的な動脈圧受容器があります。圧受容器が直接受け取る機械的な刺激は壁の伸展です。壁の性質などを同じにした正常な短期の比較では、内側の圧上昇が伸展の増加につながります。血液中の酸素や二酸化炭素の変化を受け取る化学受容とは、直接の刺激が違います。

6. 伸展の情報は発火の頻度として伝わる

神経の細胞膜に生じ、軸索を伝わる短い電気的な変化を活動電位と呼びます。一定時間に活動電位が何回生じるかを発火頻度といいます。正常な応答範囲で他の条件を同じにすると、動脈壁の伸展が増えたとき、圧受容器からの求心性活動電位の平均発火頻度は増える向きに変わります。伸展が減ったときは、平均発火頻度が減る向きです。一回の活動電位が圧に比例して大きくなるという説明ではありません。刺激と発火の関係には応答する範囲があり、すべての圧で同じ直線になるとはしません。

7. 動脈からの情報と、心臓への指令は向きが違う

舌咽神経と迷走神経は、脳幹と身体の部分をつなぐ代表的な脳神経です。頸動脈洞からの求心情報は代表的に舌咽神経を、大動脈弓からの求心情報は迷走神経を経て、延髄側の回路へ届きます。脳幹はその入力を処理し、心臓や血管への自律出力につなぎます。迷走神経には、動脈から中枢へ向かう求心情報を運ぶ働きと、心臓へ向かう副交感性の出力を運ぶ働きがあります。同じ神経名でも、情報の向きと行き先を分けて読むことが大切です。

伸展を知らせる、二つの求心路

頸動脈洞と大動脈弓の壁、内腔の血液、壁の圧受容器を別に示す。洞から舌咽神経、弓から迷走神経を通る求心情報は延髄側の回路へ向かう。同じ時間幅と同じ単発振幅の活動電位模型で平均発火頻度の違いを示す。
動脈の壁と血液を分け、頸動脈洞から舌咽神経、大動脈弓から迷走神経を経る求心情報を延髄側へ結びます。正常な応答範囲で他の条件を同じにすると、壁の伸展が多い側では平均発火頻度が高くなります。一回の活動電位の大きさとは分けます。

8. 伸展が増えると、心臓を速くする駆動は弱まる

正常な急性の圧受容器反射で、求心路・脳幹の処理・心臓への出力が保たれ、ほかの入力が同じなら、伸展の増加による求心発火の増加は、心臓への交感出力を減らし、副交感出力を増やす方向につながります。心臓へ向かう迷走神経性の出力は、この副交感出力の代表です。その作用は洞房結節で心拍数を下げる側へ働きます。交感性の駆動が弱まることは、心室の収縮力を弱める側にも働きます。入力の発火が増えたから、心臓の全ての働きも同じように増える、というつながりではありません。

9. 細動脈では交感性の収縮が弱まる

細動脈は小さな動脈で、壁にある平滑筋が内腔の広さを変えます。平滑筋は、内臓や血管の壁などにある筋です。内腔が狭くなると、流れにくさを表す抵抗が増える側へ働きます。正常な急性圧受容器反射では、伸展による求心入力の増加は、代表的な細動脈への交感性の収縮駆動も減らす方向につながります。平滑筋の収縮が弱まり、内腔が広がって抵抗を下げる側へ働きます。この血管の応答は交感性の収縮が弱まることで説明し、全ての血管へ副交感神経が拡張の指令を送ると付け足しません。

10. 圧が下がったときは、反対向きに支える

正常な応答範囲で圧が急に下がり、壁の伸展と求心発火が減ると、心臓・血管への交感駆動を増やし、心臓への副交感駆動を減らす方向につながります。心拍数や心室の収縮力を上げる側に働き、細動脈では平滑筋の収縮を強めて抵抗を増やす側に働きます。心臓から送る働きと血管の抵抗を合わせて、元の圧低下に抗する方向へ応答します。反対に、圧上昇への心臓・血管の応答は、その上昇を打ち消す方向です。元の変化に抗する効果と、変わった状態を再び受け取る戻りを含む関係を、負のフィードバックと呼びます。

11. 反射の方向と、その後の圧を確かめる

心臓が一拍で送り出す血液量を一拍量、単位時間に送り出す量を心拍出量といいます。同じ期間の記録では、心拍数と一拍量の両方が心拍出量に関わります。動脈圧には心臓からの流入、血管の抵抗、血液量や血管壁の性質なども関わります。圧受容反射の向きが分かると、どの心臓・血管の働きが変化に抗するかを説明できます。その後の圧がどこまで戻ったかは、実際の心拍数・一拍量・血管条件と、同じ時点の圧を確かめます。反応には時間もかかり、他の入力が加わるため、出力の方向だけで最終圧の数値や完全に戻る時刻を決めません。ここでたどったのは短期の反射で、体液量などを変える長期の調節は次の段階で学びます。

圧上昇を打ち消す、心臓と細動脈の枝

正常な急性反射で他入力が同じという条件で、求心発火の増える向きから、心臓への交感出力が減る、副交感出力が増える向きと、細動脈の交感性収縮駆動が減る向きを別の枝へ結ぶ。心拍・収縮力と内腔・抵抗の作用は元の圧変化に抗する。変わった壁の状態を再び受け取る戻りと、実際の最終圧の観測を区別する。
正常な急性反射で経路と他入力が同じなら、伸展と求心発火の増加は心臓への交感出力を減らし、副交感出力を増やす向きに働きます。細動脈の交感性収縮駆動も弱まり、内腔が広がって抵抗を下げる側へ働き、元の圧上昇に抗します。その後の圧は実際の同時点の記録で確かめます。

圧低下を打ち消す、心臓と細動脈の枝

正常な急性反射で他入力が同じという条件で、求心発火の減る向きから、心臓への交感出力が増える、副交感出力が減る向きと、細動脈の交感性収縮駆動が増える向きを別の枝へ結ぶ。心拍・収縮力と内腔・抵抗の作用は元の圧変化に抗する。変わった壁の状態を再び受け取る戻りと、実際の最終圧の観測を区別する。
正常な応答範囲で急に圧が下がると、伸展と求心発火が減り、心臓と細動脈への交感駆動を増やし、心臓への副交感駆動を減らす側へ働きます。心拍・収縮力と細動脈の抵抗を上げる応答は、元の圧低下に抗する方向です。最終の圧値や完全に戻る時刻は出力の方向だけでは決まりません。

12. 壁の伸展と、血液の化学的な変化

化学受容器は、酸素や二酸化炭素、酸性の程度などの変化を受け取り、神経の入力へつなぎます。首の頸動脈が枝分かれする近くには、頸動脈小体という小さな受容組織があります。脳の外で動脈血の化学的な変化を受ける頸動脈小体などを、末梢化学受容器と呼びます。動脈血は動脈内を流れる血液で、頸動脈小体には肺を経て全身へ向かう血液が届きます。近くの頸動脈洞では壁の伸展が入力となり、頸動脈小体では血液の化学的な状態が入力となります。

13. 酸素分圧と、酸性の程度

分圧は、ある気体成分に対応する圧です。血液の酸素分圧をPO₂、二酸化炭素分圧をPCO₂と表します。血液のガス分圧は、液に溶けた各ガスの状態に対応します。酸素分圧は、ヘモグロビンに結合した酸素量そのものではありません。ヘモグロビン(Hb)は赤血球内で酸素を結合して運ぶタンパク質です。酸性の程度を表す指標がpHで、水素イオンH⁺が増える方向ではpHが下がります。酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHは、それぞれ異なる血液の情報です。

14. 血液側の変化から、換気の駆動へ

頸動脈小体などの末梢化学受容器は、動脈血の酸素分圧、二酸化炭素、pHの変化を受け取ります。受容から中枢への経路が保たれた正常な条件では、二酸化炭素分圧の上昇やpHの低下は、代表的に換気を増やす側へ働きます。酸素分圧の低下も、十分に大きい場合には換気を増やす側へ働きます。頸動脈小体からの求心情報は、代表的に舌咽神経を通って脳幹へ届き、呼吸筋を動かす駆動へつながります。入力の強さと換気の変化には条件が関わるため、血液の一つの値から変化の大きさや速さまで一律には決まりません。

15. 同じ酸素分圧でも、運べる量は違う

単位血液量当たりの酸素量を、酸素含量と呼びます。溶けた酸素とHbに結合した酸素を合わせた量です。同じ体積の血液を、酸素分圧とHbの結合条件をそろえて比べても、Hb量が少ない側ではHbに結合して運ぶ酸素量が少なくなります。一方、末梢化学受容器が酸素の刺激として受け取るのは、代表的に動脈血の酸素分圧の低下です。Hb量による運搬量の差と、酸素分圧の変化による受容刺激は分けて追います。

末梢で受け取る、血液の化学情報

動脈の内腔と壁を区分し、頸動脈小体の血液側の化学刺激と舌咽神経を通る求心情報を別の表現で示す。代表的にPCO₂上昇や血液pH低下、十分なPO₂低下は換気を増やす方向へ働く。PO₂の受容刺激と、同PO₂でのHb量による運搬量を分ける。
頸動脈小体は動脈血のPO₂・PCO₂・pHを受け取り、求心情報を脳幹へ伝えます。正常な経路でPCO₂上昇や血液pH低下、十分なPO₂低下は換気を増やす側へ働きます。PO₂の受容刺激と、同PO₂でのHb量による運搬量の違いは別の情報です。

16. 血液のCO₂から、脳側の局所pHへ

脳の血管内と脳の組織側の間では、物質ごとに通りやすさが異なります。この境界の性質が血液脳関門です。CO₂は血液から脳側へ比較的移りやすく、局所の水との反応を経てH⁺の増加とpHの低下につながります。脳の細胞を囲む細胞外液や、脳・脊髄の周囲と脳室を流れる髄液のpHが関わります。中枢化学受容は、代表的にこの局所のH⁺・pHの変化を受け取り、呼吸の駆動へつなぐ仕組みです。正常な急性の条件で血液CO₂が増えると、この経路は換気を増やす側へ働きます。中枢側の代表的な刺激は局所のH⁺・pHで、動脈血の酸素分圧を直接受け取る末梢側の経路とは異なります。

17. 血液のpHと、脳側のpHを比べる

CO₂に比べ、血液中のH⁺が血液脳関門を越えて脳側へ直接移ることは制限されます。短時間の比較で、血液のCO₂を同じに保ち、血液のH⁺だけを増やすと、末梢化学受容器には血液pH低下の刺激が届きます。その期間のH⁺の脳側への直接移動と、ほかの局所pH変化を無視する条件なら、CO₂を介する中枢局所のpH変化は起こらず、末梢側の刺激は残ります。血液pHが下がった記録を、そのまま脳側のpHの実測には置き換えられません。末梢側と中枢側からの情報は、呼吸の調節に合わさります。

血液と局所液を分ける、中枢化学受容

血液脳関門を境に血管内と脳側の局所液を分け、移りやすいCO₂から水との反応、局所H⁺増加・pH低下、中枢化学受容、呼吸駆動への経路を追う。血液H⁺の直接移動はCO₂に比べ制限される。下段の短時間比較はCO₂一定で直接移動と他の局所pH変化を無視する指定条件に限り、血液pH低下と局所pHを分ける。
CO₂は血液から脳側へ比較的移りやすく、水との反応を経て局所H⁺増加・pH低下へつながります。血液H⁺の直接移動はCO₂に比べ制限されます。下段は短時間にCO₂を同じにし、直接移動と他の局所pH変化を無視する指定条件で、血液pH低下と中枢局所の記録を分けます。

18. 脳幹の駆動から、呼吸筋の運動へ

呼吸のリズムや運動のパターンには、延髄の細胞群と橋などとの連絡が関わります。その駆動は体性の運動神経の出力を通して、横隔膜などの呼吸筋へ届きます。横隔膜は胸と腹を隔てる骨格筋で、収縮すると胸郭を広げる方向に働きます。呼吸筋の活動から胸郭の運動、肺の容積と圧の変化が生まれ、空気が出入りします。自動的に呼吸しているときも、骨格筋へのこの出力は体性の運動出力です。心臓自身が一拍を始める働きと、神経によって呼吸筋を動かす働きは異なります。

19. 呼吸回数から、肺胞換気へ

一回の呼吸で出入りする空気量が一回換気量で、一分当たりの呼吸回数が呼吸数です。換気される場所のうち、ガス交換へ直接参加しない部位や容積を死腔と呼びます。死腔にも空気は出入りします。肺胞でのガス交換に使われる新しい空気が、単位時間にどれだけ入れ替わるかが肺胞換気です。同じ呼吸数でも、一回量や死腔量が違えば肺胞換気は違い得ます。呼吸筋への出力が増えた後は、筋の動き、一回量と回数、肺胞へ届く量を順につなげて確かめます。

20. 換気を変えた直後のCO₂排出

組織の代謝で作られたCO₂は血液で肺へ運ばれ、肺で血液から肺胞の空気へ移り、呼気とともに外へ出ます。単位時間に体内で作られる量がCO₂産生、肺から出る量がCO₂排出です。産生と肺からの排出がCO₂の出入りを決め、灌流やガス交換などの条件が同じ場合を考えます。CO₂産生を一定にして肺胞換気を増やすと、変更直後にはCO₂の排出が一時的に増えます。体内にあるCO₂の量が減る方向となり、動脈血のCO₂分圧を下げる側へ働きます。

21. 新しい定常状態で、出入りが釣り合う

一定の条件が続き、追っている体内量が時間を通じて変わらなくなった状態を定常状態と呼びます。換気を増やした後、低くなった動脈CO₂のもとで新しい定常状態に達すると、CO₂排出は一定の産生量と再び釣り合います。排出が産生を上回り続ければ、体内量は減り続けるため定常にはなりません。換気変更直後の一時的な排出増加と、その後の排出・産生の再均衡を分けます。出入りが釣り合うことは、CO₂の産生や排出が止まることではありません。

22. 別の入力と、産生の変化が重なる

運動を始める神経の指令などは、血液のCO₂が変わるのを待たずに呼吸の駆動を変える入力となります。このように変化を先取りする制御がフィードフォワードです。変化後の化学情報を受けるフィードバックと、先取りの入力は、呼吸の駆動に合わさります。運動などでCO₂産生も増えるときは、排出を増やす応答があっても、産生と排出の増え方によって体内CO₂の変化が変わります。指令の到着、筋の実際の活動、肺胞換気、CO₂の産生と排出、動脈CO₂は、異なる段階の情報です。心拍数や呼吸数だけの記録で、最終の動脈圧やCO₂の量まで確定することはできません。

呼吸筋の出力から、肺胞換気と戻りへ

脳幹から体性運動出力が横隔膜の筋へ届き、胸郭と肺の容積・圧の変化へつながる。肺胞換気には一回量・死腔量・回数が関わる。CO₂は血液から肺胞の空気へ移り、呼気として外へ出る。化学情報の戻りと運動指令の先取り入力を別枝へ置き、指令の到着と実際の筋活動・換気・排出を分ける。
脳幹の駆動は体性運動出力で横隔膜などの骨格筋へ届き、胸郭と肺の容積・圧、空気の出入りへつながります。肺胞換気には一回量・死腔量・回数が関わり、CO₂は血液から肺胞の空気へ移って呼気で排出されます。化学情報の戻りと先取り入力、出力の到着と筋の実際の作用は分けて確かめます。

換気変更直後と、新しい釣合い

CO₂産生一定・他条件同じの比較で、肺胞換気増加直後のCO₂排出は一時的に産生を上回り、動脈CO₂を下げる方向へ働く。新しい定常では低い動脈CO₂のもとで非ゼロの産生と排出が再び釣り合う。グラフは方向と時期を示す模型で、患者の数値や復帰時刻ではない。産生も増える比較は別条件として置く。
CO₂産生と他条件が一定なら、肺胞換気を増やした直後はCO₂排出が一時的に増え、動脈CO₂を下げる側へ働きます。新しい定常状態では、低くなった動脈CO₂のもとで非ゼロの産生と排出が再び釣り合います。図の時間と量は方向を示す模型で、実際の数値や到達時刻は示しません。産生も増える場合は出入りの両方を比べます。

用語を確かめる

受容器
刺激を受けて神経の入力などへつなぐしくみ。
求心性
中枢神経系へ向かう情報の方向。
中枢神経系
脳と脊髄からなる神経系の部分。
遠心性
中枢神経系から末梢へ向かう情報の方向。
統合
届いた複数の情報を処理し、出力へつなぐ働き。
効果器
神経の出力などを受け、力を出す筋など実際に働く部分。
洞房結節
右心房にあり、正常心臓の代表的な拍動開始を担う部分。
自律神経系
心筋・平滑筋・腺などの働きの調節に関わる神経系。
交感神経
自律神経系の区分の一つ。心臓では代表的に心拍数を増やす向きへ働く。
副交感神経
自律神経系の区分の一つ。心臓では代表的に心拍数を減らす向きへ働く。
体性運動出力
骨格筋へ届く運動神経の出力。自動か意識的かだけで分類を変えない。
脳幹
中脳・橋・延髄からなる脳の部分。情報の連絡と処理・調節に関わる。
動脈圧
動脈の血液が血管壁へ及ぼす圧。
伸展
引き伸ばされる変化。動脈圧受容では壁の伸展を刺激として読む。
頸動脈洞
頸部の頸動脈にあるふくらんだ部分で、代表的な圧受容器が壁にある。
大動脈弓
心臓から出る大動脈が弓状に曲がる部分で、代表的な圧受容器が壁にある。
圧受容器
血管壁の伸展を受けて求心性の神経入力へつなぐ代表的な機械受容器。
活動電位
細胞膜に生じ、軸索などを伝わる短い電気的変化。
発火頻度
一定時間に生じる活動電位の回数。
舌咽神経
脳幹と身体をつなぐ脳神経の一つで、頸動脈洞側の代表的な求心経路に関わる。
迷走神経
脳幹と身体をつなぐ脳神経の一つ。大動脈側の求心情報や心臓への副交感出力などを担う。
細動脈
壁の平滑筋によって内腔の広さを変える小さな動脈。
平滑筋
内臓や血管の壁などにある筋。
抵抗
流れにくさを表す量。血管の内腔の広さなどに関わる。
負のフィードバック
変化を受けた応答が元の変化に抗する方向へ働き、変わった状態を再び受け取る関係。
一拍量
心臓が一拍で送り出す血液量。
心拍出量
心臓が単位時間に送り出す血液量。
化学受容器
化学的な変化を受け取り、神経の入力へつなぐ受容器。ここでは血液や中枢局所のガス・H⁺・pHに関わる代表経路を扱う。
末梢化学受容器
脳の外で、動脈血の酸素分圧、二酸化炭素、pHなどを受け取り、呼吸調節へつなぐ受容器。頸動脈小体などが代表例。
頸動脈小体
首の頸動脈が枝分かれする近くにあり、動脈血の化学的な変化を受け取る小さな受容組織。頸動脈洞の壁伸展受容と区別する。
動脈血
動脈内を流れる血液。この化学受容の説明では、肺を経て全身へ向かう動脈血を受ける頸動脈小体を代表にする。
分圧
混ざった気体のある成分に対応する圧。血液のガス分圧は、液に溶けたそのガスの状態に対応する。
酸素分圧
溶けた酸素の状態に対応する分圧。PO₂と表す。Hbに結合している酸素量そのものではない。
二酸化炭素分圧
二酸化炭素の状態に対応する分圧。PCO₂と表す。血液にある全てのCO₂運搬形の量とは区別する。
水素イオン
H⁺と表すイオン。H⁺が増える方向ではpHは下がり、酸性の程度が強まる。
pH
酸性の程度を表す指標。H⁺が増える方向では低下する。血液と中枢局所では、それぞれの液のpHを分ける。
酸素含量
単位血液量当たりの酸素量。液に溶けた分とHbに結合した分を合わせる。
血液脳関門
脳の血管内と脳の組織側との間で、物質の通りやすさを選ぶ境界の性質。CO₂と血液中H⁺の移りやすさは同じではない。
中枢化学受容
中枢の局所の化学変化を受け取り、呼吸の調節へつなぐ仕組み。CO₂に伴う局所H⁺・pH変化を受ける代表経路がある。
呼吸筋
胸郭を動かして換気を生む筋。横隔膜などの骨格筋には体性の運動神経出力が届く。
横隔膜
胸と腹を隔てる骨格筋。収縮すると胸郭を広げる方向へ働く代表的な呼吸筋。
死腔
換気される部位や容積のうち、ガス交換へ直接参加しないもの。そこにも空気は出入りする。
肺胞換気
ガス交換に使う肺胞の新しい空気が単位時間に入れ替わること、又はその量。呼吸数だけでなく一回量や死腔量にも関わる。
CO₂産生
単位時間に組織の代謝などで作られるCO₂の量。肺からの排出とは別に追う。
CO₂排出
単位時間に肺から呼気として体外へ出るCO₂の量。換気変更直後と新しい定常状態で産生との関係を分ける。
定常状態
指定した条件で、追っている量が時間を通じて変わらない状態。流入や生成と、流出や消費が釣り合いながら続く場合がある。
フィードフォワード
変化後の検出を待つだけでなく、変化を先取りして出力を変える制御。運動指令などから呼吸の駆動へ届く入力が例になる。