成長を支えるGH・IGFの連絡

本文の目次

  1. GHを出す場所から読む
  2. 組織が別の因子をつくる
  3. 媒介する作用と、直接の作用
  4. 成長板の終了と、GHの働きは別

1. GHを出す場所から読む

GHは成長ホルモンの略で、下垂体前葉の細胞が合成し、血液へ分泌します。下垂体前葉は、脳の下側にある下垂体の区分の一つです。血液に出たGHは、受け手となる組織へ届きます。GHを出す場所と、GHが働く場所は同じとは限りません。

2. 組織が別の因子をつくる

GHは肝臓やほかの組織で、IGF-1の産生を促します。IGF-1はインスリン様成長因子1の略です。GHとは別の分子で、成長作用の重要な一部を媒介します。肝臓だけがIGF-1をつくるわけではなく、ほかの組織でつくられるIGF-1もあります。GHがそのまま名前を変えてIGF-1になるという関係ではありません。

3. 媒介する作用と、直接の作用

GHが組織にIGF-1の産生を促し、そのIGF-1を介して作用が伝わる枝と、GH自身が受け手に働く枝を分けます。前者は、間に別の因子が入る作用です。後者はGHの直接作用です。GHにはタンパク質や脂質などの代謝に関わる直接の作用もあり、すべての働きをIGF-1だけにまとめることはできません。同じ組織で複数の信号が働くこともあります。

GHとIGF-1は別の分子。組織でIGF-1産生を促す枝とGHの直接作用を分ける

上に下垂体前葉とGHの合成分泌。左の枝はGHが肝臓やほかの組織でIGF-1の産生を促す段階、次にIGF-1が成長作用の一部を媒介する段階。右の枝はGHの直接作用として下の代謝などの作用へ続く。GHとIGF-1は別の分子で、直接と媒介する枝は同じものではない。
下垂体前葉から分泌されるGHが、肝臓やほかの組織で別の分子であるIGF-1の産生を促す枝と、GH自身の直接作用の枝を分けています。IGF-1は成長作用の重要な一部を媒介します。矢印は信号の連絡と作用を表し、GHがそのままIGF-1に変わる反応や、分子の個数・作用量の割合は示していません。

4. 成長板の終了と、GHの働きは別

成長期には長骨の成長板が長さの成長に関わります。その成長板が閉じると、そこで長さを増す成長は終わります。一方、正常成人でもGHは代謝などの生理機能を持ちます。長い骨が同じように伸び続けることと、GHの働きが続くことは別です。成人でも骨の更新は続きますが、成長板での長さの成長とは別の過程です。

用語を確かめる

GH
成長ホルモン。下垂体前葉でつくられ、血液へ分泌される。
下垂体前葉
脳の下側にある下垂体の区分の一つ。GHをつくり分泌する細胞がある。
産生
ここでは、細胞が分子をつくること。外へ出す分泌とは別の段階。
分泌
細胞がつくった物質などを外へ出すこと。GHは血液へ分泌される。
IGF-1
インスリン様成長因子1。GHにより肝臓やほかの組織で産生が促され、成長作用の重要な一部を媒介する別の分子。
媒介
ここでは、別の因子が間に入って作用をつなぐこと。
直接作用
ここでは、GH自身が受け手の細胞に働く作用。IGF-1を間に置く枝と区別する。
代謝
細胞や体内で物質がつくられたり分解されたりする反応。
成長板
成長期の長骨で長さの成長に関わる軟骨の板。閉じた後の骨の更新とは別。