甲状腺の貯蔵とホルモン放出

本文の目次

  1. 濾胞腔と血液は別の場所
  2. タンパク質に組み込まれた在庫
  3. 取り込んでから分解する
  4. 遊離と血液への放出をつなぐ

1. 濾胞腔と血液は別の場所

甲状腺は頸部にある内分泌器官です。甲状腺には、濾胞細胞が腔を囲む濾胞という構造が多数あります。濾胞腔は細胞の外にある空間で、コロイドという内容物があります。濾胞腔を、細胞の内側や血液が流れる血管の内腔と同じ場所にしないで、区画を分けて追います。

2. タンパク質に組み込まれた在庫

T3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)は甲状腺ホルモンの名称です。コロイドにはサイログロブリンというタンパク質があり、チログロブリンとも呼ばれます。T3・T4の構造をもつ部分は、このタンパク質に組み込まれた形で貯蔵されます。貯蔵場所は濾胞細胞の外にある濾胞腔です。これは、遊離したT3・T4がすでに血液へ出た状態とは異なります。

3. 取り込んでから分解する

放出につながる代表的な過程では、濾胞細胞がコロイドのサイログロブリンを細胞内へ取り込みます。次にタンパク質を分解し、結合していたT3・T4を切り離します。このようにサイログロブリンから切り離すことを、ここでは遊離といいます。取り込みだけで分解や遊離まで終わったことにはなりません。タンパク質の分解は、T3・T4の新しい構造を作る過程とも区別します。

4. 遊離と血液への放出をつなぐ

細胞内で遊離したT3・T4は、血液への放出につながります。貯蔵されていたタンパク質、取り込んだ細胞内の状態、切り離されたホルモン、血液へ出る段階を順に分けます。サイログロブリン全体がそのまま血液へ出る説明ではありません。放出後の血液中では運搬タンパク質に結合する分もあるので、全てが遊離のまま運ばれるとは限りません。

甲状腺の貯蔵と放出

上の細胞外濾胞腔にはコロイドとT3・T4部分を含むサイログロブリン。取り込みの矢印が濾胞細胞の内側へ入り、取り込んだサイログロブリン、タンパク質を分解、遊離したT3・T4の順に下がる。放出の矢印が細胞の境界を越えて、下の血液へ向かう。濾胞腔、細胞内、血液は別の区画。
濾胞壁の一部を示す模式図です。上の濾胞腔は細胞の外で、血液とは別の場所です。コロイドのサイログロブリンにはT3・T4の構造をもつ部分が含まれています。濾胞細胞への取込み、タンパク質分解による遊離、血液への放出を順に分けます。サイログロブリン全体がそのまま血液へ出ることや、血中の全ホルモンが遊離のまま運ばれることを示す図ではありません。区画の実寸、放出量、時間は表していません。

用語を確かめる

甲状腺
頸部にある、甲状腺ホルモンの産生・分泌に関わる内分泌器官。
甲状腺濾胞
濾胞細胞が濾胞腔を囲む構造。
濾胞細胞
甲状腺濾胞の壁をつくる細胞。濾胞腔からの取込みとホルモン放出に関わる。
濾胞腔
濾胞細胞に囲まれた、細胞外の空間。血管の内腔とは別。
コロイド
甲状腺濾胞の腔にある、サイログロブリンを含む内容物。
サイログロブリン
T3・T4の構造をもつ部分を含み、コロイドに貯蔵されるタンパク質。チログロブリンともいう。
T3・T4
甲状腺ホルモンの名称。T3はトリヨードサイロニン、T4はサイロキシン。
取り込み
ここでは、濾胞腔のサイログロブリンを濾胞細胞の内側へ移すこと。
タンパク質分解
タンパク質の鎖を切ること。ここでは結合していたT3・T4の遊離につながる。
遊離
ここでは、T3・T4をサイログロブリンから切り離すこと。血中の全量がタンパク質に結合しないという意味ではない。
放出
ここでは、濾胞細胞の内側にあるT3・T4が血液側へ出ること。