標本から全体を考える・推定の入口
本文の目次
1. 確率変数と確率分布
確率変数は、偶然の結果に数値を対応させたものである。有限個の値をとる場合の確率分布は、可能な値と、それぞれに対応する確率を表し、漏れなく並べた確率の合計は1になる。連続型では、値がある区間に入る確率を扱う。有限型と連続型の扱いを同じ点ごとの確率の列挙へまとめない。
2. 観測値の分布と、平均の分布
一つの標本の中にある測定値のばらつきと、標本を取り直すたびに変わる平均のばらつきは別です。毎回の標本平均などの統計量がとる値の分布を、標本分布と呼びます。どの単位の記録を並べているかが見分ける手がかりになります。
3. 一つの値と、幅をもつ区間
標本から母平均などを一つの値で推定するのが点推定、幅をもつ区間で推定するのが区間推定です。推定値が真の値と必ず一致するとは限りません。使う方法の前提を確かめ、点の値だけでなく推定のばらつきも見ます。
4. 標準偏差と標準誤差を分ける
標準誤差は推定量の標準偏差です。同じ母集団から独立に抽出した観測で標本平均の標準誤差を推定するときは、標本の不偏分散の非負の平方根sを標本数nの平方根で割るs/√nを使います。ここでの不偏分散は平均との差の二乗和をn−1で割ったものです。全データの記述に使ったnで割る分散とは区別します。sが同じならnが4倍で標準誤差は半分ですが、sも変わる場合は両方を式へ入れて比べます。
5. 信頼区間では、何が変わるか
母平均は未知でも固定した値で、標本を取り直すと作られる区間が変わります。95%信頼区間は、同じ方法を繰り返したときに、作られる区間が母平均を含む割合が長期的に約95%になるという性質を表します。個々の測定値の95%を囲む区間という意味ではありません。
6. 調べたい方向を仮説へ反映する
仮説検定では母集団について帰無仮説と対立仮説を設定します。基準より大きい場合と小さい場合の両方を調べたいなら、母平均がその基準値とは異なるという対立仮説を使います。仮説を立てる段階と、標本のデータで検証する段階を分けて考えましょう。