研究の設計と因果を区別する
本文の目次
1. 誰を調べ、どの群へ分けるか
無作為抽出は、母集団から調べる標本を選ぶ操作である。無作為割付けは、参加者を比較群へ分ける操作である。無作為に割り付けた研究でも、参加者が母集団を代表するかは別に考える。一回の割付けで背景が完全に同じになるとの保証もない。
2. 観察と介入、原因の時間順序
観察研究は、研究者が調べる条件を割り付けず、実際の条件と結果を記録する。介入研究は、研究者が調べる条件を割り付けるが、必ず無作為化されているとは限らない。原因とする出来事は、その結果より先でなければならない。ただし時間順序が合うことだけで、ほかの説明が消えたり因果が証明されたりするわけではない。
3. 共通の原因と、途中の過程
条件の選択と結果の両方に関わる事前の要因は、観察された関連に交絡を生じさせ得る。一方、調べる条件から生じて結果へ続く途中の過程は、同じ事前共通原因ではない。影響の全体を調べたい場合に途中の過程を一律に取り除くと、考える影響自体が変わり得る。測定した要因への対応だけで、未測定の要因まで全て取り除いたとはいえない。
4. 残った人と、記録の方法
人を研究へ含める条件や追跡後に記録が残る条件によって、関連の推定がゆがむことがある。測定が正しくても、人の残り方は別に確認する。また、群ごとに成功の判定基準が違うなど、測定・分類・記録の系統的な誤りから生じる偏りもある。人の選択と情報の測定が、どの段階で起きたかを分けて考える。
5. 盲検化で伏せる情報
群を知った評価者の期待が測定へ影響することを減らすため、評価者に必要な群情報を伏せる。誰への盲検化かを区別し、参加者が群を知っているかとは別に確認する。盲検化だけで、対象者の背景、追跡の残り方、全ての交絡がそろうとはいえない。
6. 比較群と模型の仮定
前後の変化には、調べるプログラム以外の同時期の変化も混ざり得る。比較群を用いた計算では、何を共通の変化と仮定するかを明示する。計算ができることと、その仮定が実際に成立すると証明することは別である。割付け後に実際の行動で群を移したり人を除いたりした比較は、元の割付けによる比較とは区別する。
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- 無作為抽出
- 母集団から、確率に基づく方法で調査対象の標本を選ぶ操作。群へ分ける割付けとは別の段階。
- 無作為割付け
- 参加者を、確率に基づく方法で比較する群へ分ける操作。参加者の母集団代表性や一回の完全な背景一致を保証する意味ではない。
- 交絡
- 調べる条件を選ぶことと結果の両方に関わる事前の別要因の影響が、条件と結果の観察された関連に混ざること。条件の後に生じる途中の過程とは区別する。
- 盲検化
- 期待などが測定や行動へ影響することを抑えるため、参加者・評価者など必要な人に群情報を伏せる方法。誰に伏せたかを区別する。