有毛細胞の束が曲がることと信号
蝸牛の振動によって基底膜などが動くと、コルチ器の上側にある蓋膜との相対的な動きや、それに伴う局所の液体の動きによって、有毛細胞の頂部にある不動毛の束が曲がります。不動毛は毛髪ではなく、細胞表面の細い突起です。束が最長の不動毛側へ曲がると、機械的な力で開くイオンの通路が開きやすくなり、有毛細胞は脱分極します。逆向きでは通路が閉じる側へ変化します。内リンパはカリウムイオンに富み、この流入が応答に関わります。有毛細胞からの神経伝達物質の放出が変わり、次の感覚ニューロンへ情報が伝わります。有毛細胞の膜電位の変化と、感覚ニューロンの軸索を伝わる活動電位は別の段階です。成熟したヒトの蝸牛の有毛細胞には、平衡器官で方向の基準となる動毛は残っていません。